兵庫県加東市、と聞いて場所がすぐにわかる人はどれだけいるだろうか。僕はわかりませんでした。
Googleマップを開いて場所を確認し、路線バスが日曜日は運休なので、津山行きの高速バスを途中で降りて3kmほど歩いて一軒の酒屋さんにたどり着く。
店主の娘さんからの依頼で、お店と夫婦の写真を撮る。
お店はただの田舎の酒屋さんではなかった。中をぐるりと見回せば、酒好きがこだわった品揃えであるのは容易にわかる。
おまけに商品札の筆文字の流麗さよ。「父が書くんです」と聞いて感心しない人はおるまい。
赤ちゃんの命名書など頼まれて書くこともあるらしい。彼が独学で身につけたというから、努力家なのだろう。
代々続いた酒屋ではなく、彼が一代で立ち上げた店である。その店をもうすぐ閉めるのだという。
そこはまさに彼の人生そのものであったろう。酒好きの僕としては素直に尊敬する。
加東市は山田錦の生産が盛んなのだそうだ。
兵庫の酒といえば灘だが、米どころ加東市東条の地酒もおいしいという。
これは買って帰らにゃいけんじゃろうと選んだら、もう一本おまけしてくれた。ありがとうございます。
帰って飲んでみたら、しっかりと立ち上がる味わいの旨い酒であった。
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